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やさぐれ読書録
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5月5日から読んでいた"The Business of Software"(Michael Cusumano)を読了。日本語版のタイトルは「ソフトウェア企業の競争戦略」。「未来のいつか/hyoshiokの日記」の記事と、そこで紹介されていた「『ソフトウェア企業の競争戦略』読書感想文」シリーズを読んで購入を決めた本。
■ 「何を作るか」
この本のタイトルには"Business"という言葉が入っているけど、僕が突然ビジネスに目覚めたとかいうワケではない。とはいえ「何を作るか」にもちゃんと目を向けないといけないということを最近痛感しているのも確かである。
(「何を作るか」が大事であるというのは研究の場合でも多分同じだ。売れる(ウケる?)モノを作るにはそれなりに調べたり考えたりすることが必要なワケだし)
まず最初に目を引いたのが、この本のなかでの「ニッチ(niche)」という用語のとらえかた。ニッチといえば普通、「すき間」とか「細々と」というイメージとともに使われることが多いものだが、この本のなかでは決してネガティブな意味では使われていない。他にも参考になりそうなトピックはいろいろとあるのだが、そこはまた追い追い書く(つもり)。
■ Microsoftの開発の姿
UuidCreateSequentialみたいな仕様がデザインレビューを通過して(いや、そもそもトラディショナルなデザインレビューをやっていない可能性も排除できないかも)APIに追加されるというのが(善し悪しを超えて)マイクロソフトのすごいところだと思います。
う〜ん、やっぱりウチのカイシャでこんなカンジのAPIが無事にレビューを通るとは思えんなぁ。QA(品質保証)部署に叩き落とされそう。
と書いたのだが、実際のところMicrosoftでの開発プロセスと、僕らの開発プロセスは具体的にどこまでが同じで、どこからが決定的に違っているのかをもう少し深く掘り進めてみたいと、最近特に思うのであった。"The Business of Software"の中にもMicrosoftでの開発の様子が垣間見られるような文章がある。
Microsoftのマネージャーやプログラマーのほとんどは、伝統的な日本のソフトウェア工場やCMMのレベル4、レベル5で見られるような規律的な環境を避けている。
(…中略…)
(マイクロソフトの開発)プロセスでは(大体、3人から8人のデベロッパー、そしてデベロッパーと「バディ」として共同作業に当たる、同数のテスト担当メンバから構成される)小さなチームが個別の「機能(feature)」を担当し、そのような小さなチームが複数集まったものが、比較的大きなチームとして活動する。Windows2000のような非常に大きな製品では、15から20、あるいはそれよりも多くの機能担当チームが並行して作業を行う。
("The Business of Software"p.147, やさぐれ訳)
なるほど、CMM的なプロセス管理は行わず、一方で開発者と同数のテスト要員(!)を確保して開発を進める、というワケか。同書では他にも開発体制や進めかたについての記述はいくつか見られるのだが、やはり、これだけでは足りない。Windows NTの開発の様子を克明に描いた本としては"Showstopper!"(日本語題「闘うプログラマー」)ってのが有名だが、実際のところ、アレってMicrosoftに引っ越してきたDigital Equipments(DEC)の開発チームの物語だったりするのだよね。僕としてはもう少しMicrosoftの「根っこ」に近いところを知りたいのであるよ。
■ 「クスマノ・シリーズ」
ということで、「クスマノ・シリーズ」と勝手に命名した以下の本のまとめ読みを敢行することにした。
最初の"The Business of Software"は今回読んだ本。2冊目の"Competing on Internet Time"はNetscape社の話が中心だが、とりあえず押さえておく。
本命は3冊目の"Microsoft Secrets"と4冊目の"Japan's Software Factories"だ。どちらも今となっては少し古くなってきてはいるが、Microsoftのあの『自由奔放さ』の原点と、(かつて「ソフトウェア工場」と呼ばれていた)今の職場の『プロセス重視』の原点との対比が浮き上がることを期待しつつ、読み比べることにしたい。